一般社団法人国際心理支援協会主催「令和2年公認心理師現任者講習会」にご登壇いただく講師の先生方に、
「公認心理師」をテーマにインタビューさせていただきました。
その内容をご紹介させていただきます。
ぜひご覧ください。
(ここで紹介する講師が、お申込みされる現任者講習会の会場で科目担当されるかについては、スケジュール発表後にご確認ください)


1.「公認心理師と臨床心理士の違いや「公認心理師資格を持つこと」のメリットについて」

【講師紹介】
小山 秀之(こやま ひでゆき)
現職は、特定非営利活動法⼈PeerNet 理事⻑。臨床⼼理⼠・社会福祉⼠・公認⼼理師。和歌⼭県臨床⼼理⼠会 (理事)、和歌⼭県公認⼼理師協会(理事)、関⻄電⼒株式会社和歌⼭(メンタルヘルスアドバイザ ー)、等を兼任。教育歴としては奈良⼤学、⼤阪⻭科⼤学、関⻄医療⼤学、関⻄福祉科学⼤学、関⻄⼥⼦短期⼤学等の非常勤講師として学生を指導し、また支援者としては医療・福祉・教育・産業等の幅広い領域で活動してきた。


インタビューアー:
それでは、本日は小山先生よろしくお願いします。まずは簡単に経歴を教えていただけますでしょうか。

小山:現在、和歌山で特定非営利活動法人「Peer心理教育サポートネットワーク」の理事長をしています。私自身10年以上の臨床経験があって、これまで医療、福祉、産業、教育機関などで勤務してきました。今は大学の非常勤でも働いているなど、様々な領域で働いてきました。資格は、臨床心理士、公認心理師、社会福祉士を持っています。

インタビューアー:ありがとうございます。先生が思われる「公認心理師と臨床心理士の違い」というのは、どんなところに感じておられますか?

小山:実際、公認心理師が出来て間もないですよね。うち(Peer心理教育サポートネットワーク)は臨床心理士と公認心理師のダブルライセンスの方が多いので、資格取得者としての違いは正直はっきりしていないというか、違いがわからないんですね。研修の場とかで、多職種の方に対して公認心理師の取得に向けての研修とかしていると感じることもあるかな。資格の違いについてですよね?

インタビューアー:
そうですね。資格を含めた違い。これから公認心理師を取られる方も多数いらっしゃると思うのですが、公認心理師資格を持つことによって、どのようないいことがあると思われますか?

小山:まず資格としては、大学で関係行政論を教えているんですが、その科目が出来たことによって、法律に基づいた支援という国家資格者としての法令順守の責任については、今まで臨床心理士以上に感じるようになりました。もう一つは、私自身が福祉の事業所を経営していますので、そこで感じたことは「(福祉・介護職員等特定処遇改善)加算」の問題とかもありますね。今でも小児科で働いているんですが、「保険点数」についても同じことがいえます。臨床心理士の時はそういった問題はなく、スクールカウンセラーはある程度予算化されていましたが、スクールカウンセラー以外はなかなか公的資金が投入されてなかったので、そういったところに対してちゃんとアウトカムをだしていくことが求められているのかなと。

インタビューアー:今後、公認心理師という資格は、日本社会の中でどういう位置を占めることになると思いますか?

小山:
これからの資格なので、色んな方たちが作っていくイメージしか正直湧かないんですけど。やっぱり、今後、大学院修了した方たちが取得していくので、そのあたりの専門性はしっかりと築いていかななければいけないですね。その中では学会活動も。いくら臨床心理士と違って資格更新制ではないといえども、エビデンスに基づく形、そういう研究に基づいて臨床を行うことが求められていくのかなと思います。それがなければ大学院で学んでいく。要するに、繰り返しますけどアウトカムを出していくって繋がっていくと思います。

インタビューアー:それに加えて、小山先生として公認心理師がこれからこういう風に発展していったらいいな、という「公認心理師の資格を持っている人に期待すること」はありますか?
小山:やっぱり独自性を持つということが大事だと思うんです。

インタビューアー:独自性。

小山:今まで、色んな相談業務があったと思います。キャリアコンサルタントもそうですし、社会福祉士とか精神保健福祉士とか。相談業務っていうところでは一括りにされちゃうようでは、まずいわけです。若い人たちには、きっちりと心理学理論に基づいて実践していくこと、クライエントや利用者さん達に、「心理支援は相談業務と違うな」というのを明確化・言語化できるかを期待してます。

インタビューアー:それでは、最後の質問とさせていただきます。現在、現任者講習会に来られる方には、教員とか小中高の教員、保健師や看護師、それからPSW(精神保健福祉士)を始めとしたソーシャルワーカー、キャリアコンサルタントが多いと思われます。臨床心理士の方はすでに取り終えているところが多いのでしょうか。このように、他業種から公認心理師も取得して、公認心理師の資格を使って、今の業務をよりよくしていこうと思っている方がいらっしゃると思うんですね。そうした時に、心理師とは別の業務に従事している場合、公認心理師を保持することにどんなメリットがあるか、持つことによって、次のどういうキャリアが見えてくる可能性があると考えられますか?

小山:なるほど。いま、学校現場の教職員と特別支援関係の先生とか、教育相談の先生方とお仕事をしていますが、その方々は公認心理師を主として仕事はしていないかもしれない。公認心理師の資格とか実践の方法論に興味ある方が、資格を取ることがでてきました。今まで心理学の言語ってなかなか難しいとか、理解できないといわれてきたのが、ある程度共通言語で話せるようになってきて、ケースの見立てとか全体のアセスメントというのは、少しずつ意識は変わってきた感じがして、私自身仕事がしやすくなったという実感はあります。キャリアに関しては、まだイメージが湧かないですが・・・。私自身が社会福祉系なので、連携していくうえでもシステム理論とか、システム理論については社会福祉士も使ってますけど、もうちょっと心理学的理論に基づいたソーシャルワーカーであったり、教職員が出てきたり、新たなサービスが生まれてくるかもと期待しています。

インタビューアー:ありがとうございます。それでは、最後に現任者講習会を受けて公認心理師試験を受けようとされている方に、一言お願いします。

小山:うん、がんばってください!(笑)公認心理師の資格に限らず、心理学って学んでいくと、日常生活の中の人間関係であったりとか、いろんな現象を説明したり、見通しをよくするような、仕事以外でも使える面白い理論がたくさんあると思うんです。ここ(国際心理支援協会)の現任者講習会は、いろんな実践者であったり大学の学識経験者の講師が来られますから、ただ丸暗記など知識の習得だけではなく、その知識を使って世界が広がるようなことが、少しでも感じてもらえたらいいなと思っています。


インタビューアー:
小山先生、本日はインタビューお受けいただきありがとうございました。

小山:ありがとうございました。

[2020年5月17日に対談]