一般社団法人国際心理支援協会主催「令和2年公認心理師現任者講習会」にご登壇いただく講師の先生方に、
「公認心理師」をテーマにインタビューさせていただきました。その内容をご紹介させていただきます。
ぜひご覧ください。
(ここで紹介する講師が、お申込みされる現任者講習会の会場で科目担当されるかについては、スケジュール発表後にご確認ください)

【三林先生にインタビューその2】

【講師紹介】
三林 真弓(みつばやし まゆみ)
現職は京都文教大学教授。キンダーカウンセラーやスクールカウンセラー、子育て相談などの臨床を行っている。主な研究領域・実践領域は教育領域や福祉領域。子育て支援(ママさんサポーター)活動を継続的に行っている。

インタビューアー:今、公認心理師と臨床心理士の話が出てきましたけど、三林先生が思われる中で「公認心理師と臨床心理士の違い」や「似ているところ(異同)」というのは、どんなところだと思われますか?

 三林:今、国家資格化をして公認心理師という資格が立ち上がったんですよね。その手前の民間資格である臨床心理士っていう資格が立ち上がった時に、決して最初から民間の資格で臨床心理士の資格を置こうとしたわけではありませんでした。臨床心理士資格は、その時から国家資格化を目指す流れがあったわけですよね。もっと歴史を辿ると、私が大学の図書館で日本臨床心理学会という学会の学会誌を読んだことがあるんですが、日本臨床心理士会というのは、その昔、まだまだ無資格状態であった心理職の人たちの集まりの学会だったそうです。その中から、資格化を目指そうとする人たちと「資格なんて必要ない。このままいくべきだ」という団体とがあってそのすごいバトルが学会誌でやりとりされているのを見たときに、すごくおもしろいなと思っていました。その時にモデルになったのが「看護師」でした。看護師も元々国家資格ではなくて、あるところから国家資格となりました。保育士さんも「保母」だったものが「保育士」という形になって、それらが資格という形になった時に、どんなメリット、デメリットがあるのかというのが書かれていました。日本臨床心理学会という学会は、どちらかというと資格反対派が専攻している雑誌だったので、資格のデメリットをすごく強調する内容だったので、資格の動きの中で「日本心理臨床学会」の方に移っていったんですよね。資格の推進派。それでいうと、臨床心理士というのは、民間の資格だけれども、それなりに気負いがあって、国や万人に認められるような資格を目指して、民間ではあるけれども資格化の動きの中で、その志というものは今の国家資格である公認心理師とかなり重なっているかなと思います。ただ、公認心理師の資格は臨床心理学に特化しただけではない、実験心理学等の基礎心理学を含めていろいろな団体が協議をして国家資格を作ったので、そういう意味では幅が広いですよね。現任者講習会でもびっくりするくらい大脳生理学の分野が出てきたりとか。現任者講習会の科目にはありませんが、基礎心理学の分野もテキストの中には出てくる。そう意味ではかなり広く勉強しなければいけないかと思います。私も元々臨床心理士なので、そこまでよく知らなかった内容も、公認心理師を取得するために勉強した分野があったり、自分が弱い分野もこれを機会に勉強することができたし、もちろん働いていて必要だった知識も復習することができたので、現任者講習会は、そういう意味でよい機会だったと思いますね。資格の異同についてですが、現任者講習会を受けた時に改めて思ったのが、そういう意味では、臨床心理士は改めて臨床心理学に特化した資格なんだと思った。そういう意味においては、アセスメントまではそこまで公認心理師には求められてないなと思った。

インタビューアー:
心理検査とかですね。

三林:そうですね。心理検査って、ほんとにいっぱいあるんですよね。何十もあって、その中のいくつかをテストバッテリーで持って、病院なんか特にいろんな心理検査を使いながら行っているんですよね。現任者講習会では心理検査を取る力などについては触れられなかったかなと思います。アセスメントだけではなくて、カウンセリングのスキルについてもそこまで問われている感じはありませんでした。

インタビューアー:現任者講習会テキストでも万遍なく書かれていますが、心理検査についてはほとんど書いていませんでした。セラピーも表面上のことしか書いていないようなところはありますね。

三林:名称だけわかったとしても、それがなんなのか、じゃあ、自分でできるのかといわれると…これらは、それなりにしっかりやらなければいけないことではあるので、それは本当に資格取ってから、関心がある分野や、目の前にいるその人に対して必要なアプローチなど、勉強していかなければいけないことが多いかと思います。

インタビューアー:
確かにそうですね。これまで臨床心理士は「指定大学院」があったおかげで、大学院にいるうちに、投影法とか知能検査とか発達検査とかを多かれ少なかれ学んでこれたじゃないですか。だから、ロールシャッハテストは自信がなくても、「一応やったことはある」という方がほとんどですけど、公認心理師の場合、その辺がかわりそうですよね。「ロールシャッハテストも見たことがない」とか、「WISCとかWAISとかも取ったことない、見たことない」という方がたくさんいると、それこそ勉強する場所とか、学び場はもっと必要になってきますよね。大学院の代わりでは無いですけど。

三林:
そうですね。なので、これまでも対人援助職でずっとキャリアもっておられて、現任者講習を受けて、その先の公認心理師として、独り立ちしようとされる人には、浅井さんがおっしゃったような「欠けている部分」というと変ですが、「補わなければいけないというところ」があるのではないかと思います。

インタビューアー:
僕にとっても興味深い、刺激される話でしたが、やはり公認心理師をこれから取る人たちというのは、資格後は何をすればいいのかなという「道標」がないと困るのだろうなと思います。僕たち臨床心理士も「臨床心理士を取ったはいいけど、この後、どう勉強していけばいいのか」というのは、別に学会に行ったとしても手取り足取り教えてくれるわけではなくて、みんな迷いながら学んでいたと思います。さらに迷ってしまう可能性があるので、国際心理支援協会としては、そこの「道標」みたいな道先案内人みたいなことができればいいのかなと思いました。

三林:
そうですね。ぜひそうなっていただければと思います。